主張は正しいんだろうけど…

傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)

傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)

傷、火傷の湿潤治療の話。「はじめに」で、いきなり蕎麦の七味や丁髷の話が出てきて困惑する。七味は、個人的嗜好についてで科学的にどうこうという話ではないし(ワサビの話はまだわかるが…)、丁髷の髪形という一種の流行の話であり、傷の治療の話とは次元が違う。丁髷廃止令は出ていないが、散髪脱刀令(断髪令)は出ていたはず(髪形は自由という主旨だけど)。
湿潤治療の話は、説得力があるが、これが受け入れられないからと言って、パラダイムシフトまで結びつけるのは大げさ。湿潤治療自体は、褥瘡(床ずれ)治療で米国で30年前ぐらいから行われていた(p.192)らしい。既存のパラダイムとして、蓐瘡治療のDESIGN-Rを批判しているが、治療の目安として使うのであれば問題なと思うが、科学的でないと批判するのであれば、対案を出すべきであろう。