人類大移動

人類の移動誌

人類の移動誌

人類の移動誌について、最新のDNA研究結果をふまえて、最新の知見が分かりやすく書かれている。お奨め。

  • 人類の移動のきっかけは、森からの草原への脱出。
  • 現人類は一度、中東に進出したが、そこを放棄し、その後、ネアンデルタール人が定住している。
  • 東へのルートは、ヒマラヤ山脈の南を通ったらしい。
  • ネアンデルタール人クロマニヨン人(現人類)では、環境の変化に対する対応の仕方に違いがあった(作った道具の変化から分かる)。ネアンデルタール人は、環境の変化に対応できず、同じ環境の場所をもとめ、最後はジブラルタルあたりにいきついた。
  • ネアンデルタール人クロマニヨン人間の交雑はあったことが確認されている。ただし、同時に存在した期間はそれほど長くないと考えられている。
  • アメリカへの進出は、少なくとも3回行われた。氷河が溶けて回廊ができる前に既に南下しているようなので、海岸沿いに行った可能性もあるが、当時の海岸は、今は海中なので、検証が難しい。

豚肉と穀物

空飛ぶ豚と海を渡るトウモロコシ 穀物が築いた日米の絆

空飛ぶ豚と海を渡るトウモロコシ 穀物が築いた日米の絆

穀物輸入の話。JA全農が海外事業に取り組んでいるとは知らなかった。それから、1959年にアイオワ州から台風被害に遭った山梨県に36頭の豚が空輸され、その子孫は日本で50万頭にもなるそうだ。

食料自給率を批判が多いカロリーベースを使っているのは、JAだからかも。それから、穀物はほぼ輸入に頼っているのであれば、最終商品である食肉を輸入しているのとほぼ変らない(むしろ輸送効率から言えば、後者の方が効率がいい)と思ったのだが、それはJA的には禁句?

地形と歴史

建設省でダム建設を担当していた方の本。面白いが、玉石混交の部分もあると言う感じ。
面白かったのは、

  • 東京の水道水が塩素消毒されることになったきっかけ
  • 横浜の水は、なぜ相模川からひいているのか?
  • ピラミッドの建設理由

前作も読んでみたい。

アジア三国志

アジア三国志

アジア三国志

日中印の三国について述べた本。5年以上前のブッシュ政権の頃に書かれた本だが、内容はまだまだ古くなっていない。個人的には、インドが独立後、十分な発展できないのが不思議。やはり、政情不安がある下手な民主主義よりも、一党独裁の方がいいときもあるのであろうか。
予想もかなり当たっており、、有益な提言もあるので、読む価値はある。

江戸時代の人口

歴史人口学で読む江戸日本 (歴史文化ライブラリー)

歴史人口学で読む江戸日本 (歴史文化ライブラリー)

歴史人口学の観点から江戸時代の生活の様子を再現した書。付加情報が書かれた宗門改帳を基に人口の移り変わりを再現していく。東西日本でかなり様子がことなっていたようで面白い。

  • 西日本では、奉公に行ってから結婚したので比較的晩婚であった
  • 東日本では、結婚してから奉公に出たので、早婚であった
  • 江戸時代では出生率は、西高東低であったが、幕末から明治にかけては逆転する。開国したことで、経済的に豊かになってきたため(開国した当初は、生糸、蚕の需要がたかく、東日本の方が利益を受けた)。
  • 東日本で出生率が低かったのは、育てられる子どもの数を決めており、それが少なかったため。

林業

森林異変?日本の林業に未来はあるか (平凡社新書)

森林異変?日本の林業に未来はあるか (平凡社新書)

日本の木材自給率が改善しているそうである。しかし、それが日本の林業の復活ということでもないらしい。日本の林業の問題は、

  • 木材の規格化に対応できなかった
  • 木材の質が均質でない(昔は、大工が現場で調整していた)
  • 家屋から、木が見えなくなった。床の間、和室の減少
  • 割り箸バッシングにより、間伐材の商品化の道が絶たれたこと
  • 山の所有者が不明なところがたくさんある
  • 利益を出すには、加工工場も大規模化するしかないが、安定供給が難しい

と、いろいろあるようだ。
これまでは、植林は、針葉樹メインだったが、今後はどのような植樹をすべきかといったところに言及されていればもっとよかった。

農業

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)

農業論というには、汎用性がないかな。書いてあることは正しいのだけど…。一点気になったのは、有機農業の利点として、病虫害に強い野菜だけが出荷できる(病虫害に弱い野菜は喰われたり、枯れたりして出荷できない)とあったが、その野菜が本当に人間の体にいいのかはちょっと疑問。人間が植物を食べてきた歴史は、いかに植物の持つ毒を抜くかという戦いでもあった訳だし。