明治日本紀行

イザベラ・バードの日本紀行 (上) (講談社学術文庫 1871)

イザベラ・バードの日本紀行 (上) (講談社学術文庫 1871)

明治11年(大久保利通が暗殺された年)に日本を訪れた、イザベラ・バード日本紀行。上巻は、東京から函館まで。興味深い点は、下記の点。

  • 日光から新潟に出るために、会津若松に出て、車峠を越え、阿賀野川を下って行った(現在なら、沼田経由で、三国峠を通るルートが一番先に思い浮かぶ)。
  • 海岸沿いを行かずに内陸部を通っている(新潟から秋田に行くのに、米沢、山形を経由)。なぜ、海岸沿いを行かなかったのか? 象潟には、松尾芭蕉も行っているので、街道はあったはずだと思うのだが…。
  • 豪雨で、渡った直後の橋が流される、馬から落馬する等、かなり危険な旅だったこと。
  • 筆者のキリスト教の影響がかなり大きなこと。本書を深く理解するためには、ビクトリア朝の英国文化について知る必要があるかも。また、日本人は、神道や仏教があるにも関わらず、当時から無宗教に近いとのこと。
  • 筆者が中途半端な西洋化を嫌っていること(日本人の洋装、洋式の建物)。しかし、幕府から新政権に代わり鎖国を解き、西洋の文化を取り入れようとすること事態は評価していること。
  • 地方の農家の人々は、勤勉であるが、衛生状態が悪く。健康状態もよくない。また、蚤や蚊などの虫が酷い(シラミについては言及がなかった)。マラリアが流行していたのは知らなかった(調べたら、戦前まで土着マラリアが各地で見られたらしい)。

かなり淡々と記述されているので、ワクワクしながら読むものではないが、下巻が楽しみ。