アメリカ海兵隊

アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書)

アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書)

歴史家や軍事評論家が書いたものではなく、知識創造企業などを書かれている組織論が専門の方によるというのが目新しいかな。自己革新を行ってきた要件の筆頭としては、「存在理由」への問いかけと生存領域の進化というのは完全に同意。他の要件に対しても異論はないのだが、読後、若干の違和感が。

  1. 軍隊=非営利型組織なのか? どちらかというと、軍隊=官僚組織と言った方がしっくりくる。イラク戦争には、治安維持を民間にアウトソーシングしているらしいし、治安維持は、戦闘行為ではないという意見もあるだろうが、ゲリラ戦なると戦闘と治安維持というのははっきりした区別はできないであろう。
  2. 自己革新ができたのは、他の3軍に比べて小規模で小回りが利いたというのもあるであろう。海軍などは、大鑑巨砲主義から抜け出すのにだいぶかかったし。
  3. 軍隊は、戦争が起きれば、成果は完全に目に見えるし、その原因も解明しやすい。

よって、他の組織との比較があればもっとよかったのではないかと思われる。新書でそこまでやるのは難しいかもしれないが…。