まちづくり
- 作者: 田村明
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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- 作者: 田村明
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阪神大震災についての両者の評価が180度異なっていて、興味深い。前者では、神戸・真野地区に関して
協同してこの地域に住み続ける市民の主体的な「まちづくり」活動が粘り強く続けられ、出来るところを少しずつ改良していく。市の援助もあったが、住民が主体的に「まち」を育てコミュニティをつくってきた。そういう長年のコミュニティ活動が、たまたま阪神・淡路大震災の時に、被害を最小限に食い止めた。火災はおきたが、普段知り合っていた人々が協力して川からバケツリレーで水をかけ延焼を食い止めた。からで、コミュニティがないところではどんなにか被害が広がったかもしれない。(p.131)
後者では、震災で亡くなった方の半分弱が高齢者であり、その原因について
その大きな理由は神戸市の行政が企業的経営に熱心であったのにくらべて、市民の生命を安全を守る、あるいは市民の福祉充実をはかる施策に立ち遅れていたところもあるということを、震災直後から私は指摘していました。そこは、震災後10年を下手今日において客観的評価にもなっています。ではなぜ、神戸市はそのような行政を展開してきたのか。(p.57)
と行っており、都市計画の専門家である田村氏が、震災と都市計画については、市民の間のコミュニティにしか言及しないというのはいかがなもかとも思う。
また、後者では、三位一体改革よって地方の財政が減らされていること、公営住宅の機能不全など政府・行政の無策が色々指摘されている。そのような観点は、田村氏の著作にはないものである。
現在、都内の住宅地では、3階建てが解禁されたため、これまで人が住んでいた100坪ほどの土地があると、それを30坪以下に細分化して、エンピツのような3階立ての住宅が建てられているところがある。庭も無いに等しく。ここまでやるのなら、小さなアパートを造った方がいいのではないのかと思ってしまう。小さな三階建ての建物は、バリアフリー対策なんてできないから、そこに住む人々の老後はどうなるんでしょうね? 横浜でも、ニュータウンの土地がうれると細分化して分譲されるということが繰り返されている。バブルの頃よりは安くなったとはいえ、駅からはなれているのに結構な値段で分譲している。
そういう現状を見ると、田村氏の著書は、昭和の高度成長時代の印象を強く受けてしまう。