環境考古学

環境考古学への招待―発掘からわかる食・トイレ・戦争 (岩波新書)

環境考古学への招待―発掘からわかる食・トイレ・戦争 (岩波新書)

環境考古学という言葉は、耳慣れない言葉であるが、従来の考古学に、動物学、植物学、生化学、寄生虫学等を加えた学際的なものをいうらしい。筆者は、動物考古学が専門とのこと(6章の筆者の経歴も面白い)。通常、骨等は分解されて残らないが、貝塚では、貝殻のカルシウムにより一緒に捨てられた骨も分解されずに残るため、当時、どのような魚を食べていたかがわかるとか、岡山城の発掘から、イノシシやブタ、ウシ、イヌ、ウサギの解体された骨が出てきて、武士階級の人々は隠れて肉(しかもイヌまで)を食べていたらしいとか…。
圧巻なのは、洗浄考古学の部分で、アメリカでリトルビッグホーンでのカスター将軍の全滅を再現したり、そして、これを現代に適用して、コソボの虐殺の真相を明らかにするなど、普通の考古学の本では読めない話を読むことができた。