環境史

環境と文明の世界史―人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ (新書y)

環境と文明の世界史―人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ (新書y)

全体的には結構いいのだが、鼎談だけあって、家畜民と農耕民(それと牧畜民)という大まかな区分けで話が進むのはいいとしても、どうしても細かいところで、「ん?」とひっかかる。例えば、

  • 古代地中海世界が、ローマ帝国の衰亡によって、なぜアルプスという巨大な山脈を越えて北へ広がろうとしたのか(p.149) → 共和制の末期にガリアまで進出していたんですが…。
  • 魚は最も持続的なタンパク供給源(p.220) → 魚が持続的? 魚の生長が、森林から海への栄養供給によっていることを考えると、そう簡単に言えないのでは?

というところなど。そういうところを見ると、

  • ネアンデルタール人は、必要以上に動物を殺していないが、現代型新人は、必要以上の狩をしている(p.41)

という興味深い記述も、どれだけ本当のことなのか疑いたくなる。
読後感としては、結局欧米文明の批判が主で、これからどうしたらいいのかというものがよく分からず、消化不良な感じ。