李朝末期の朝鮮

朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期 (講談社学術文庫)

朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期 (講談社学術文庫)

イザベラ・バードの日本紀行 (上) (講談社学術文庫 1871)イザベラ・バードの日本紀行 (下) (講談社学術文庫 1872)を読んだので、こちらも読んでみる。日本紀行の16年後、1894(明治27)年から3年余り、朝鮮の各地及び、ロシアの沿海州満洲旅行記。その最中に、日清戦争、朝鮮国王、閔妃との謁見、閔妃暗殺などの事件が起こり、日本紀行記よりも波乱にとんでいる。印象に残ったのは、

  • 貴族階級の両班の腐敗の酷さ
  • 両班が一般民衆から搾取するため、一般民衆は、無気力になっている。これは、ロシア領の朝鮮人とは対照的。また、裕福な親戚にタカって働かない者たちも多い。
  • ハングルは、上流階級は使わず、蔑んでいる。
  • 慣習による男女差別が酷い
  • 貨幣制度が酷い。貨幣が穴開き銭しかなく(?)。宿泊一泊に50枚とかいうオーダーで払うので、お金の持ち歩きが大変。
  • 朝鮮の家は、床暖房で冬も暖かいが、床暖房の家は、ゴキブリの巣窟である! 日本の家は、蚤だらけだったのと対照的。
  • 宗教は、鬼神信仰で、タタリをいかに避けるかに重点が置かれている。儒教かと思っていたが、そうでもないようだ。
  • 閔妃暗殺後の混乱の際、各国の公使が日本に王宮を日本軍に守るよう要請したが、それを受けなかったことを非難していること。そして、その後、ロシアの進出を招いたのは、自業自得であるとしていること(さすが、植民地をたくさん抱えている英国人の視点であろうか)。
  • 最後に、当時の朝鮮人自治能力はないと断定している。中国を手本にした体制の限界?