トラが語る歴史

朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期 (講談社学術文庫)で、19世紀末の朝鮮にはまだトラがいたらしいと読んだので、この本も読んでみた。この本の主役は、アモイトラで、朝鮮に生息していたアムールトラとはちょっと種類が違う。アモイトラが生息していた中国南部の福建省を中心とした中国史。こういう視点はなかなか面白かった。環境歴史学、人口歴史学などをからめてうまく書いてある。漢の時代に支配が及ばなかったのは、マラリアのせいで、その後、気候が寒冷化するとマラリアを媒介する蚊が減り、漢人が住めるようになったとか、風水が樹木を守った(気の流れに森が必要)という記述が興味深い、ちょっと違うが、日本だと鎮守の森のようなものかも。