4種類の植物

欲望の植物誌―人をあやつる4つの植物

欲望の植物誌―人をあやつる4つの植物

上のミミズの本と同様に、アメリカでガーデニングをしているジャーナリストによる書。4種類の植物について、植物がハチを使って繁殖しているように、人間も植物から見ると、繁殖の道具なのではないかという視点から書いた本。話がアメリカ中心(オランダも一部絡むが)で、冗長で退屈な部分もある。面白かった部分は、

  • リンゴ
    • アメリカでは、前世紀までリンゴは酒の原料として主に使われていた。禁酒法で、リンゴ酒が造れなくなったので、「リンゴ一日一個で医者いらず」のPR文句を考えて、食べる方が中心になった。
    • リンゴは種から育てると、元のリンゴとは似ないリンゴができる。同じリンゴを増やしたければ、接ぎ木をするしかない。
    • 食用が中心になるにつれ、品種の寡占化(甘いもの)が進み、多様性がなくなってきた。
  • チューリップ
    • 17世紀のオランダでのチューリップバブルが有名だが、そのころに高騰した品種は、現在には残っていない。
    • 価値を高めた不規則な花びらの模様は、ウィルスによるもの。ウィルスを避けたところ、現在のようなあまり個性がない花になった。
  • マリファナ
    • 90年代から、アメリカで栽培の罰則が厳しくなった
    • 現在は、人工環境で育てられている
  • ジャガイモ
    • アイルランドでの飢饉が有名だが、今回の話は、遺伝子組み換えの話が主。
    • ここでもやはり、有機農法の有効性が書かれている。従来農法の農家が、消毒代や作業を節約するために、遺伝子組み換え作物に切り替えている。

という部分。