日本古代史

農耕社会の成立〈シリーズ 日本古代史 1〉 (岩波新書)

農耕社会の成立〈シリーズ 日本古代史 1〉 (岩波新書)

最新の縄文、弥生時代の考古学の知見が得られる本。面白かったのは、

  • 旧石器時代は、気候は寒冷化していたが、縄文時代になると温暖化し、現在よりも2mほど海水面が高くなった。そのため、クリ、ドングリ等の栽培、漁撈の発達により、大規模集落が出現するようになった。縄文後期になると、少し寒冷化したため、大規模集落が維持できなくなり、小規模集落に分散化した。
  • 縄文人弥生人と民族が入れ替わったように言われているが、それは正確ではなく、渡来人が来たのは事実だが、入れ替わったのではなく、稲作文化の導入とともに彼らが渡ってきて縄文人と交じり合ったというのが正確
  • 金印は、考古学者の間では、本物と見なされている。寸法が、その時代の中国の尺のサイズに一致しているためらしい。
  • 邪馬台国は、畿内説の方が有力

旧石器捏造事件にも触れられており、良心的な一冊だと思う。