中世の仏教

寺社勢力の中世―無縁・有縁・移民 (ちくま新書)

寺社勢力の中世―無縁・有縁・移民 (ちくま新書)

良本。日本における仏教が最も盛んになったのは、鎌倉〜戦国時代までだが、その実情を書いた本。面白かったのは、下記の点。

  • 鎌倉幕府の公式文書は一切残っていない(滅亡の際に焼けてしまった)。日記等が金沢文庫に残っているぐらい。鎌倉幕府の財政については、今も謎のまま。
  • 寺社の管理する土地は、朝廷や幕府の治外法権の場であった。
  • 武士と武装僧との区別は曖昧(修道騎士団に近い?)。
  • 寺社を中心とした境内都市が発達していた(中世欧州の修道院に近い?)。
  • 信長の焼き打ちと、秀吉の刀狩で武力、権力を失った。