愚行の世界史

愚行の世界史(上) - トロイアからベトナムまで (中公文庫)

愚行の世界史(上) - トロイアからベトナムまで (中公文庫)

愚行の世界史(下) - トロイアからベトナムまで (中公文庫)

愚行の世界史(下) - トロイアからベトナムまで (中公文庫)

本書での愚行の定義

  • 後世からも、その時点からも益にならないと認められるもの
  • 実行可能な選択肢が他にもあること
  • 統治者個人の政策ではなく、グループの政策であって、一個人の政治的生涯を超えて続くもの

本書での愚行の例

一番最初にトロイの例を出しているが、神話時代であるし、3番目の定義から外れているような気がする。今回挙げられている3つの例は、愚行を犯しているが、致命傷にはなっていない。ローマカトリックは今もなお健在であるし、英国はその後19世紀に世界帝国になるまで成長した。そして、米国は冷戦に勝利している。定義の2番目の「実行可能な選択肢が他にもあること」という点で、ローマ帝国末期やオスマン帝国末期を対象にできないということなのかもしれない。興味深いが各トピックがそれぞれ1冊の本として成立するほど深く書かれているため、読破するのにかなりのエネルギーを消費する。