アーリア人

アーリア人 (講談社選書メチエ)

アーリア人 (講談社選書メチエ)

アーリア人というと、印欧語族ということで、インドへの進出と、ナチスドイツが思い浮かぶのだが、本書はイラン系アーリア人についての本(少しだけインドと欧州のアーリア人についても触れられている)。

  • フン族に追い出されたアラン人は、欧州に進出したが、フランス人のAlain, 英国人のAlanという人名は、アラン人から来ているらしい。F1のプロストの名前の由来がこんなところで出てくるとは。コーカサスに進出したアラン人は、オセット人として現存している。
  • ペルシャ語を基本に書いてあるので、人名にちょっと違和感がある。キュロスがクル、ダレイオスがダーラヤワウ等。
  • パルティアのところで、ローマ帝国軍がファランクス主体と書かれているが、ローマの軍団は、レギオン制の散開白兵戦術なので、違うと思う。第一次三頭政治の一人のクラッススを破ったことぐらい書いても良さそうなのに…。
  • イランの語源は、アーリアだった。
  • ゾロアスター教を信仰していたイラン系アーリア人の末裔である、イラン人やパシュツゥーン人が原理的なイスラム共和国をささえているのは、歴史の皮肉。

色々書いたが、イスラム以前のイラン周辺(中央アジアを含む)の歴史を知りたいのであれば、一読の価値あり。