土の文明史

土の文明史

土の文明史

以前、土とは何だろうか? (学術選書)を読んだことがあったので、古代メソポタミアの塩害や、エジプトでのアスワンハイダムによる洪水の防止により、塩害が発生したことについては、既知であった。目新しいところでは、「畑を耕すことが土壌の浸食を加速する」ということであった。また、不作については、気候の変化よりも、耕作による土壌の浸食の方が影響が大きいとしているところも興味深い。その証拠として、耕作している場所と、していない場所で数メートルの段差ができている(耕作していない場所が小山になっている)写真も載せられている。耕すことは、百害あって一利なしとしており、不耕起栽培で土壌の浸食はかなり抑えられるらしい。
そして、「食料自給率」の罠 輸出が日本の農業を強くするでは、耕地がある程度広くないと、効率的な農業ができないと書かれているが、本書では、それは神話であり、小規模な農家の方が効率がいいと述べている(pp.215-216)。肝心なのは、現在の農業が持続可能かどうかという点であるが、有機農法不耕起栽培を取り入れた農法に変えることで乗り越えられるとしている。

  • 畑を耕すことの是非
  • 文明の衰退は、土壌浸食のためであり、これは、気候変化の影響よりも大きい
  • 小規模の集約農業の方が効率がいい

というところが新鮮だった。