「豊かさ」の誕生

「豊かさ」の誕生―成長と発展の文明史

「豊かさ」の誕生―成長と発展の文明史

これは良書。ジャレド・ダイアモンドの著作と同じくらいいい。世界の経済成長が1820年代から急に始まったこと。豊かさをもたらす条件として

  • 私有財産
  • 科学的合理主義
  • 資本市場
  • 迅速で効率的な通信・輸送手段

を挙げている。また、1820年から50年の間の社会の変化は、現代に匹敵する(蒸気機関による鉄道、及び電信)とのこと。そして、具体例として、イギリス、オランダ、フランス、スペイン、日本、イスラム諸国、ラテンアメリカ諸国が挙げられている。また、経済成長率の平均値は2%であると述べられており、高度経済成長を達成しキャッチアップした国は、低成長率になるのはあたりまえとしている。
後半では、豊かさと民主主義の関係(豊かさが達成される前に民主主義を導入してもうまくいかない)、豊かさと幸福度の関係(自分の周りとの比較が主になる)、豊かさと軍事費の関係(アメリカは、超低コストで覇権を維持している)等の興味深い考察が述べられている。