イギリス近代史講義

イギリス近代史講義 (講談社現代新書)

イギリス近代史講義 (講談社現代新書)

イギリス近代史とあるが、イギリスの都市と、産業革命の話がメイン。興味深かったのは、

  • 都市は、匿名社会(道ですれ違う人は、知らない人)
  • 近世イギリスは、単婚核家族、晩婚だった。14歳頃から、他家へ奉公に行くため。
  • 消費については、王室がトレンドリーダとなり、貴族、ジェントリ、庶民へと広がっていく
  • 砂糖と煙草の違い。カリブ海での砂糖プランテーションと北米の煙草の違い。砂糖は、価格競争力を失っており、帝国内で保護貿易状態だったが、煙草は、競争力があった。従って、USが独立しても、なんとかやっていけた。
  • 世界システムとしてのモノ。生産地と消費地が異なるもの。綿花、砂糖、コーヒーなどが当てはまる。
  • 産業革命には、シティの資金が投入されていない。起業コスト(土地コスト)が安かった。
  • ロンドンのスラムの起源: 港が増えたため。鉄道という説もある。ロンドンでは産業革命は起きなかったので、直接の原因ではない。
  • 第一次産業革命と第二次産業革命の違い: 単に時期の違いで、その時の旬の工業が発展しただけ。
  • イギリスの衰退: イギリスは衰退していない。早い時期に成長したため、他の国に追いつかれただけ。

最後の点については、「豊かさ」の誕生―成長と発展の文明史で述べられていることと、一致している。
なかなかいい本です。