武士の成立

河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流 (中公新書)

河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流 (中公新書)

河内源氏を中心に武士階級がいかに成立したかを述べている。武士と言っても、河内源氏伊勢平氏は、京を本拠とする軍事貴族であり、地方土着の武士ではない。また、地方武士の頭領となるのは、頼朝以降の土地の支配と引き換えにした御家人制度が成立してからであった。鎌倉幕府のイメージをその前の時代に後付けで遡るのはよくない。
頼義、義家の時代は、地元の武士の協力を仰いで戦ったのであり、前九年・後三年の役で苦戦したのは、地元の武士の協力をうまく得られなかった(裏切りにあった)ためであるとしている。それが成功したのは、平忠常の乱の鎮圧。自前の兵力を持っていないことは、平治の乱の際に、義朝が苦境に陥ったことでもわかる。
また、同族間の争いが絶えなかったこと、為義・義朝、頼朝・義経が有名であるが、義家、義綱兄弟の争いも激しく、一時は義綱が跡取りになりそうになったというのは、初めて知った。
話が200年以上に及ぶため、登場人物が多く、源氏、平氏藤原氏天皇家系図が載っているが、系図と照らし合わせながら読んでいくが、系図に載っていない人物も多く読み解くのは非常に手間だった。